日本語と文字と出版

文学の派生について

お経を上げている人物は、過去に修行や説法により、その経典に書かれている内容を覚えていることが前提と考えられます。サンスクリット語を声に出しているわけです。つまり、仏教経典の日本語解説でなく、漢字のみの原書は黙読は不可能であるばかりか、無意味なのです。
たとえば、英語等、洋書の文字の音を無理に漢字に当てた書物があるとして、それを黙読しても無意味と言うことです。その言語を母国語ないし第二言語とする者のみが黙読に意味を得るのです。
ディスクレシアの人はこの作業が先天的に非常に不得手なのです。

日本においても「黙読」は古いものではありません。江戸時代でも本を読むにはほとんど音読だったそうです。
版木による「出版」が始まり、急速に識字率が向上し、江戸中期ではほぼ100%であったと言われています。
当時限られて入国できる外国人の多くは、本国へ帰国した際、日本人の識字率の高さに驚いたと報告しています。ヨーロッパでは女性の識字が遅れたようです。政変、革命後に急速に女性の識字率が改善されました。

洋書明治に入って、日本人はロシア、フランス、イギリス、ドイツ各国に繰り広げられた文学の派生について学びました。
「プロレタリア文学」に対し「ブルジョア文学」、「浪漫派文学」に対し「自然派文学」と言った具合でした。しかし、どの国、派の文学にも女流作家は見られませんでした。
この状況は長く続きました。この同時期には、日本には女流作家を輩出しています。外国人が一番驚いたのは、このようなことで、江戸時代中期から基礎学力、教養に男女差がないことでした。
確かに語彙すべてに漢字が当たるのですから大変ではありますが、当時の日本人も私たちと同様に、読めない漢字の意味をある程度正確にイメージできるし、完全に読める漢字が書けないことだって普通にあります。
つまり、非常に読み易い、世界に類い稀な言語と言えるのではないでしょうか。
現代では、6歳から12歳の6年間の文字の習得を7、8割程度できておれば、その後の人生に支障はないと考えます。

終戦後、日本駐留軍司令部は日本統治政策に日本語のローマ字化制作を立案しました。目的は、日本人に民主主義を定着させ、アメリカ合衆国にとって「敵化」しないようにするためでした。彼らにとって、「漢字」は難解極まる文字で、日本人の教養向上の足枷(あしかせ)と考えたのです。政策を実行する前に駐留軍政府は、全日本人に「学力試験」を実施しました。導かれた結論は、「識字率100%。ローマ字化に意味なし。」でした。

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日本語の特殊性

言語を表記する手段を考えるとき、少ない種類の文字を組み合わせて書く方法と、単語毎に固有文字を当てて書く方法として、「アルファベット」と「漢字」を例出しました。長短特徴があることも示しました。

漢字については、単語の数と同数の文字があるわけですから、一人の人物があるゆる事象を書き著すことは非常に困難です。この文化圏では、筆記者は、自分が保有する語彙(ボキャブラリー)のすべての文字を覚えれば表現が可能です。それ以外の文字を覚える必要はないのです。
なぜなら、自分の語彙以外で話すことは不可能ですから、それだけでいいのです。しかし、読み手には困ったことが生じます。読もうとする書物が自分の語彙内で収まっているかどうかは判らないのですから、あまねく文字を覚えるか、辞書を携えておかねばならないのです。
つまり、漢字圏は「発信者向け」で、「受信者」に負担を強要する文化圏であると言えます。

文字一方、アルファベット圏では、語彙すべてのスペルを記憶する必要がありますが、基本的に表意文字ではなく、表音文字ですから、漢字ほどではありません。
しかし、「ディスクレシア」の問題もあるように、イメージでの理解が困難です。
極端に言うと、26種文字でなく、究極はコンピューターが唯一理解できる言語「機械語」の様に「0」と「1」だけで言葉を記入できるとすれば、その書物を「黙読」できるでしょうか。高い確率でそれができる「ヒト」は皆無でしょう。
アルファベットはそれに近いとして機械語を例に示しました。今、手元に安物の腕時計の取扱説明書があります。
数えると、8か国語で書かれています。人の多く集まるところでは、最近、案内に「日本語」、「英語」、「中国語」、「ハングル」、「知らない文字」をよく見かけます。取扱説明書も案内も、一番文字が少ないのは中国語、その次が日本語です。「開」の一文字で済むところが「open」と4文字、半角サイズとしても2字分あります。しかも、決まったスペースに収めねばならない時は字が小さくて大変です。スぺース以前に、書かれている文字を全部読まないとなりません。

私は古い通信士でしたから、モールス信号を1分間に和文を90字以上、欧文を120字以上受信できます。しかし、内容は理解できません。反射神経で手が文字を記入しているだけです。
「Q符号」と言って、通信文が3文字のアルファベットで作られたコードがあるのですが、これなら、「言葉」として理解できます。受信した文字を読まねば内容が理解できないのです。
普通の日本人でもこれに似た状況は、カタカナだけの文章を見せられた時に経験できます。

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